
特徴
体は細長いエビ型で、透明感のある赤色から淡いピンク色を呈する。頭胸甲には白い小斑点が散在し、腹節には細い縞模様が入ることが多い。触角は長く、歩脚は細くしなやかで、深海環境に適応した柔軟な体を持つ。身質はねっとりとした食感で、加熱すると赤みが強くなる。雄と雌で大きさに差があり、抱卵期には雌の腹部に卵が見られる。
生息域
富山湾の200〜400mの深海域に多く、特に滑川沖や魚津沖の急深地形に群れる。海底は泥質・砂泥質が中心で、低温で安定した深海環境に適応している。日中は海底付近で過ごし、夜間にやや浮上する行動が知られている。湾内は外洋に比べて水温変動が少ないため、良質な個体が得られるとされる。
文化・エピソード
富山湾では「トヤマエビ」と呼ばれ、地元の寿司店や家庭料理には欠かせない深海エビとして親しまれてきた。朝どれの新鮮な個体は透き通るような赤色で、これを判断基準に鮮度を見極める習慣が根付いている。祭礼や祝い事の膳には刺身として供されるほか、鮮度が落ちた個体は唐揚げや味噌汁に使うなど、地域の食文化の中で用途が分かれてきた。観光客には“富山湾の甘エビ”として知られ、近年ではブランド化も進んでいる。
お魚の応援スポンサー
- アトラクト ― 魚は新湊、サインは自社一貫施工