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介護から考えるコミュニティデザインを。

FKTネットとやま代表 角内純

米国発祥のコミュニティデザイン、
CCRCに触発されたのがキッカケ。

CCRC(Continuing Care Retirement Community)の概念をご存じでしょうか?元気な時から介護が必要になった後まで、同じ地域で安心して暮らし続けられる“終身型の住まい・コミュニティ”のことです。異なる状態の人々が互いに支え合い、住まい・医療・介護・生活支援が一体となっており、健康状態が変わっても住み替えの不安がなく、同じ地域やコミュニティに長年関わりながら自分らしい生活を続けられます。

一般社団法人 福祉・介護・地域活性化ネットワークとやま(以降、FKTネットとやま)の代表の角内純さんは、もともと建設や商業施設の開発などに携わる仕事をしていました。角内さんはこの「CCRC」の発想と出会い、感銘を受けて、富山県内で実現したいという思いが募り、福祉サービスの世界へ飛び込みました。

FKTネットとやまの名称は、コミュニティデザインという観点から立ち上げた事業であることがわかります。

多くの福祉施設は様々な事情により、まちなかから少し離れた場所に建てられています。そのぶん利用者は外に出る機会が減り、地域の人々との交流もしづらくなります。福祉サービスがまちから離れることで、その人らしい日常や楽しみが薄れ、施設が「暮らしの場」ではなく「過ごすだけの場所」になってしまうことへの問題が指摘されます。

新湊の真ん中で、
支え合いが生まれる場をつくる。

角内さんは、地域コミュニティの真ん中にある福祉施設をつくりたいと思い、2014年、射水市新湊地区に小規模多機能型居宅介護施設「いつでも来られま放生津」をオープン。その施設名称が物語るように、施設利用者のご家族はもちろん地域住民の皆さんが、ふらっと気軽に訪れることができる場所づくりをしようと試みました。

施設のある場所は、古くから続く漁師町の一部を再開発して建設された集合住宅の1階です。ここの住民の多くは高齢者であり、隣接する住宅エリアの住民の多くも高齢者です。「いつでも来られま放生津」には、基本的には自分で歩動いて、自分でものごとを判断できる人たちが通って来ます。角内さんは「何で困っているのか、出来ない事を細分化して見つけてあげることが大事」と語ります。

例えば、自分でご飯が炊けないという困りごとに対して、米が研げるが、スイッチが押せないという可能性もあるという例を紹介してくれました。福祉は自律できることと、人の助けが必要なこととを明確にすることが大事であり、ここにコミュニティの存在意義があると教えてくれました。

次なる展開をめざした、
世代間コミュニティデザイン。

CCRCを原点とするユニークな発想は、異なる年代の人々が、異なる経験を持ち寄り、コミュニティに貢献するマインドを醸成させる可能性を秘めています。他者への貢献が人間の最大の喜びあることを実感できるしくみができれば嬉しいものです。

角内さんは「定年してもまだまだ働きたい人が多く、地域に戻って、もうひと頑張りしたいという人が多いはず」とのこと。しかし、その受け皿が少ないのが地方の現実です。お話のなかでは、地域通貨みたいな発想は、今の時代だからこそ必要なのではないかという話題もありました。

つまり、ひと昔前に話題となった地域通貨は、デジタル技術の不完全さによって使いづらく、廃れていったしくみも多くありました。今の時代であれば、様々な技術的な課題をクリアできるのではないでしょうか。

2023年、ついに、高齢者向けの福祉サービスだけに留まらない、次なる展開を構想しました。それが、世代も地域も越えたコミュニティをつくる場所のデザインです。

世代も地域も越えた、
コミュニティづくりへの挑戦。

角内さんが構想したコミュニティデザインの舞台は「いつでも来られま放生津」が入居している集合住宅の2階フロアに使われずに放置されていた介護施設用の空きスペースでした。

施設の機能を満たすために、細かく仕切られた狭い部屋がいくつもあり、共同の台所やお風呂スペースを完備。角内さんは、この場所のことがずっと気になっていたそうです。ずっと空いているはもったいない、しかし、必要最低限のスペックを有しているだけでは、利用者もきっと喜ばないだろうと考えたそうです。

無理やり、このままの状態で使う道もあるかもしれませんが、FKTとやまの将来ビジョンと地域貢献を両立を実現できる構想はないものか、このことがずっと頭から離れませんでした。

2023年の冬、角内さんは同じ新湊地域でまちづくりや場づくりの企画デザインをしている会社「グリーンノートレーベル(株)」に声をかけて、この場所の活用方法を一緒に考えてくれないかと依頼しました。この会社は(株)空と箱の代表である明石博之が経営している別の会社です。ここから約1年の時間をかけて、新しい事業の構想を練っていきました。

鎌倉カルチャーの風が吹く??

この構想に追い風となる出来事がありました。角内代表の息子さん、望さんと妻裕子さんのおふたりは神奈川県鎌倉で暮らしながら、社会貢献活動と非常に親和性の高い仕事もされていました。地域活動にも積極的にかかわっており、イベント企画やデザインといった領域にも普段から接する機会が多いと聞きます。

角内代表は、自分がこの新しいプロジェクトの主催者になるのではなく、若い世代の活躍の場にもなり、次世代を担う新しい感覚で運営をしてもらうのが理想的だと考えて、望さんたちにプロジェクト参画を打診しました。

おふたりとも鎌倉を中心に首都圏でバリバリと活躍されているため、物理的に富山の地で活動することは困難であることは明白でした。しかし、鎌倉と富山との二拠点で活動することのメリットも大きく、双方の拠点が漁師町であることも最大限活かしながら、富山に「鎌倉カルチャーの風を吹かせる」という考え方で、プロジェクトに主体的にコミットする運びとなりました。

介護事業×みなとマーレの可能性

最終的に出来上がった場が、多目的で、かつ柔軟な使い方が可能なレンタルシェア空間です。名称は「みなとマーレ」です。実は、この場所がある射水市新湊地区では、30人以上集まって会議をしたり、イベントをしたりする場所が限られています。公共施設はあるものの、雰囲気がイマイチだったり、公民館は住民しか使えなかったりと、ホントにちょうど良い場所がないという問題がありました。

ここ「みなとマーレ」は、まさにそうした問題を解決する場です。2階からは富山湾が見えて、周りには暮らしがあって、内川にもほど近い。使い方は無限大、と言っても過言ではないのではないでしょうか。大人数の会議やイベント、音楽会もできますし、フリマにも持ってい来い。キッチンもあるので、食のイベントも可能。コワーキング的な使い方もできます。

良い場所には良いご縁が生まれるものです。この場所で、CCRC由来のコミュニティが広がるような予感がします。1階の「いつでも来られま放生津」の利用者やそのご家族、知人の方々が気軽に遊びに来られる場所になれば最高です。そのような動線が生まれることにより、地域と施設の交流が活発になることが期待できます。

角内さんと新湊の大衆寿司

角内さんはこう話します。「まず、個人的にお寿司が大好き。漁業が盛んな新湊ではかつて沢山の寿司屋があったと聞きます。寿司と聞くだけで元気が出てくる。そんなパワーをもった存在です。」

また、「理屈抜きで元気が出てくる」という言葉もとても印象的でした。祝い事があったとき、ちょっとしたハレの気分を味わうために、寿司は最強の食です。どの家庭も、行きつけの大衆寿司屋があって、家族みんなで、親しい仲間と楽しく食事ができる場所というイメージがあります。

角内さんは、「大衆寿司なら、新湊」に期待することとして、このような話もしてくださいました。「新湊で新たに寿司屋をはじめたい人を応援できるようなコミュニティがあれば嬉しいです。スタートアップの場所も大事ですが、この地域に定着してもらうには継続的な応援が必要です。」

CCRCのコンセプトに感銘を受けて飛び込んだ介護事業の世界から、多様性を受入れるコミュニティデザインとしての「みなとマーレ」の誕生へと発展し、今後は大衆寿司とのコラボレーションの可能性を感じます。そのような観点から、非常に一貫性のある社会課題解決をされている企業だということがわかりますよね。

企業の情報

一般社団法人
福祉・介護‥地域活性化ネットワークとやま
住所:富山市下大久保2219-60
TEL:076-461-7336
FAX:076-482-2250
E-mail:fktnettoyama@aroma.ocn.ne.jp

事業所「いつでも来られま放生津」
住所:富山県射水市放生津町3-15
       ラ・メール放生津
TEL:0766-53-5626
FAX:0766-53-5627

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